きのこ通信
きのこづくりの『極め人』 包装部門 機械編 中川京子さん
まずは簡単にエリンギィができる工程からご紹介しましょう。
北村きのこ園のエリンギィは約12の工程を経て市場へ出荷されます。
1 原材料(おがくず、ヌカ、ふすま、水)を混ぜる
2 調整(水分量をみながら撹拌)
3 詰込み(調整した培地を充填)
4 殺菌
5 接種(おがくず菌を加えていく)
6 培養(培養室で約35日ほどかけ菌糸を伸ばしていく)
7 菌かき(菌糸をいくつか取り除き、酸素を与える)
8 芽だし(湿度と室温が徹底されている部屋で成長させる)
9 発生(湿度と温度をかえ、さらに成長させる)
10収穫(選別して、一つ一つ手で収穫する)
11包装(選別し、商品として包装)
12出荷
シリーズで紹介してきた『極め人』。
今回は『機械』と呼ばれる包装業務についてクローズアップです。
包装とひとくくりに表現していますが、①さばき ②業務用 ③機械 ④包装と大きく4つに区分され、それぞれの班ごと日々業務に当たっています。
収穫したエリンギィは①のさばき班で包丁を使い丁寧に1本ずつバラバラにしていきます。
②の業務用はお取引頂いているホテル、スーパー、レストラン、通信販売、進物用、学校給食など、それぞれのお客様の要望に答える形で、選別・梱包・荷造りまでを行っていきます。
②の業務用と①のさばきは連携をとりながら、さらに、①さばきと③の機械も連携をしながら作業を進めていきます。
③の機械では、さばきが終わったエリンギィを袋やパックに詰めていく作業を主に行います。
お取引先様の希望のグラム数に合うように、秤で軽量しながら手作業でエリンギィをトレーに並べ、ナイロンの袋には必要なグラム数を詰め込む作業をおこないます。
トレーに並んだエリンギィは機械を使ってやラップやシールを貼り出荷できる状態に。
それをまた出荷用の箱(段ボールなど)につめ、出荷の段取りをしていきます。
お取引先様からの注文にそって全て作業をしていきますが、数をたくさん作っていく必要があるので、作業に携わる人数も多く8人+出荷量に合わせて応援が加わり、出荷の時間に間に合うよう作業を行います。
まさに時間との戦いです。
班長の中川さんは、その包装業務全体を統括するため、常に数字を頭に入れながら仕事に当たられています。
エリンギィの注文数は見込みで事前に入ってくるものもあれば、前日の夕方や当日に見込み数よりはるかに多くの注文が入ることもあります。
中川さんの頭もフル回転。
前日から対応できるものは、夜電卓を打ちながら必要数の計算をされることもあるそうですが、翌日朝注文が入れば、さらに計算をし直し必要な数が準備できるように対応されています。
「お客様は北村きのこ園のエリンギィを求めて注文してくださっています。北村きのこ園だからできるやり方で、お客様の希望に応えられるよう、お断りすることがないよう調整できるものはできる限り調整し対応していきたい」と中川さん。
エリンギィも1週間や2週間で成長するものではありません。
1ヶ月以上時間をかけながら収穫をします。
培養の状態や菌かきの状況によってエリンギィがこの時期にはどれくらい収穫できるのか、常に生産ラインと情報共有し全体の状況を把握しながら、お取引先様の要望に応えられるよう調整をされているということがわかりました。
「できないのではなく、できるように調整していく」強い想いを感じた中川さんの一言でした。
エノキ茸が生産の主流だった頃から中川さんは勤務されています。
その後、エリンギィの生産量が増え、業務体制も変化してきたと言います。
当初は手探りの状態で作業をしていましたが、生産量も増え業務の効率化を常に意識してきました。限られた時間内で作業が円滑に能率よく進むように『作業のみえるか』に務めてきました」と中川さんは言います。
共有しておきたいことはその都度スタッフを集め声をかけあうそうです。
取材当日も、休憩終わりの時間を使ってエリンギィの大きさについて共有されている場面に遭遇しました。
「各々作業をしていく中で、作業に慣れていくと気付かぬうちに自己流になる部分も出てくるので、その都度共有することが大切」と仰った中川さん。