きのこ通信
北村きのこ園の原点 えのき茸 その①
北村きのこ園は昭和40年、自宅の庭からスタートしました。
当時はしいたけや炭作りなどを主に生業としていましたが、環境に左右されることなく農産品を作っていきたいと思いを巡らせていた頃、エノキ茸との出会いが訪れました。
当時は誰も見聞きしたことのないエノキ茸。
自宅の倉庫を改良し、手探りでエノキ茸の生産をスタートしました。
温度や湿度管理の難しさもあり、出荷量もばらつきがあったりと試行錯誤が続きます。
エノキ茸の認知されていない時期は、評価されないこともありましたが、原料にこだわった培地づくりの研究を進めていくことで、品質や生産量など安定的な出荷ができるようになりました。
市場からも品質の面で良い評価をいただけるようになり、エノキ茸そのものの世間的認知度も広がりました。
そんな中、エノキ茸の生産で築いてきた技術を元に新たなきのこ栽培への取り組みをスタートすることに。
これも当時まだまだ知られていなかったエリンギィ栽培へのチャレンジです。
生産の仕方もエノキ茸と全く一緒というわけではないので、試行錯誤を繰り返しながら、品質の高いものを目指す日々が始まりました。
機械もオリジナルで改良し、原料・温度湿度管理など様々な行程を見直しながら生産を進め、平成12年頃にはエノキ茸よりエリンギィの生産が全体の9割をしめるほどになり、現在に至ります。
手探りからスタートしたエノキ茸づくりも56年目。
現在も、学校給食などを中心に地元鳥取で食していただいています。
エノキ茸には、ギャバという成分が豊富に含まれており、神経の興奮を鎮め、肝臓や腎臓の働きを活発にする働きがあり、血圧や神経を安定に一役にする働きをすると言われています。
疲労回復に効果のあるビタミンB1の含有量がきのこ類の中でもトップクラス。
夕食に食べると、一日の疲れをとり、安眠に導いてくれます。
ビタミンB1の役割として、皮膚や髪の毛、爪などの健康維持にも役立つと言われています。
(参考:もっとからだにおいしい野菜の便利帳 高橋書店)
似ているようで違うエノキ茸とエリンギィの生産行程。
行程としてはほとんど同じですが、少しずつ違いもあるのでご紹介します。
【エリンギィの行程】
1 原材料(おがくず、ヌカ、ふすま、炭、水)を混ぜる
2 調整(水分量をみながら撹拌)
3 詰込み(調整した培地を充填)
4 殺菌
5 接種(おがくず菌を加えていく)
6 培養(培養室で約35日ほどかけ菌糸を伸ばしていく)
7 菌かき(菌糸をいくつか取り除き、酸素を与える)
8 芽だし(湿度と室温が徹底されている部屋で成長させる)
9 発生(湿度と温度をかえ、さらに成長させる)
10収穫(選別して、一つ一つ手で収穫する)
11包装(選別し、商品として包装。出荷)
【エノキ茸の行程】
1 原材料(おがくず、ヌカ、炭、水)を混ぜる *ふすまは使用しない
2 調整(水分量をみながら撹拌) *エリンギィより水分量が少ない
3 詰込み(調整した培地を充填)
4 殺菌
5 接種(おがくず菌を加えていく)
6 培養(培養室で約25〜30日ほどかけ菌糸を伸ばしていく)*日数と温度帯が違う
7 菌かき(菌糸をいくつか取り除き、酸素を与える)
8 芽切(芽切室で10日間ほど)
9 抑制(抑制室で株を大きくする) *加湿をしない・温度帯が違う
10紙巻き(真っ直ぐ成長するよう瓶口に紙をまく)
11生育(生育室でじっくり成長させる) *加湿をしない・温度帯が違う
12収穫(紙とりし、収穫する)
13包装(選別し、商品として包装。出荷)
北村きのこ園のエノキ茸ができるまで、エリンギィとの違いと合わせて次回パート②としてご紹介します。
続く!!