きのこ通信
きのこ通信 新シリーズスタート
こんにちは。きのこ応援隊 隊長まえたです。
さて、きのこ通信ではこれまできのこづくりの要である培地のこだわりやエリンギィ・えのきの栄養価について、体内での働きかた、保存の仕方、旬の食材ときのこを合わせた調理方法、利用者さんの声などをお届けしてきました。
そしてきのこの旬である秋を迎え、現在北村きのこ園は繁忙期を迎えています。
エリンギィとえのき茸の生産に携わる社員は日々経験を生かしながら、より品質の高いものをお客様にお届けするべく一丸となって仕事に励んでいます。
きのこ応援隊 まえたが取材に伺うたび、エリンギィやえのき茸の生産工程のこだわりや想いに触れ、毎回新たな発見と感動をしています。作業されている社員さんを見ると、それぞれの部門に『極め人』がいらっしゃることがわかりました。まさにプロフェッショナル!!
そこで、知られざるきのこづくりの現場を、生産工程の「極め人」の想いとともに月1回ご紹介していきます。
1 原材料(おがくず、ヌカ、ふすま、水など)を混ぜる
2 調整(水分量をみながら撹拌)
3 詰込み(調整した培地を充填)
4 殺菌
5 接種(おがくず菌を加えていく)
6 培養(培養室で約35日ほどかけ菌糸を伸ばしていく)
7 菌かき(菌糸をいくつか取り除き、酸素を与える)
8 芽だし(湿度と室温が徹底されている部屋で成長させる)
9 発生(湿度と温度をかえ、さらに成長させる)
10収穫(選別して、一つ一つ手で収穫する)
11包装(選別し、商品として包装。出荷)
今回は、1・2の工程を担う『培地づくりのプロフェッショナル 林 幸伸(はやし ゆきのぶ)』さんにお話を聞きました。
「今日はよろしくお願いします。」と穏やかな表情で挨拶をしてくださった林さん。
32年ガソリンスタンドで働かれていた林さんが北村きのこ園に入社して19年になるといいます。
入社以来、林さんはエリンギィやえのき茸に欠かすことのできない、原材料を混ぜ合わせる工程を主に担われていて、機械を使い「おがくず」や「米ぬか」「ふすま」などをバランスよくブレンドしていきます。
「北村きのこ園ではエリンギィとえのき茸を生産していますが、それぞれで組み合わせる原材料が違うので、特に午前中はバタバタと作業をしています」と林さん。
その仕事は何より体力勝負だとか。階段で2階にあがると原材料を混ぜ合わせる機械に20キロもある
原料の袋をいくつも持ち上げ、勢いよく入れていきます。階段を上がったり下がったりを繰り返しながらの作業と重量のある原料を持ち上げる作業はもちろん膝にも腰にも負担がかかります。
「足腰が何より鍛えられますよ!!」と話してくださる姿はとても凛としていて、私よりはるかに軽快な足取りで階段をかけあがり、説明をしてくださったのがとても印象的でした。
より良い培地を作る為に、原材料の配合をバランスをみながら調整したり、季節に合わせて
水分を加減し、これまでの実績を踏まえつつ、さらに新たな配合も試みながら、
より品質の高いエリンギィやえのき茸になるよう成長を見守ります。
「どんな仕事もそうですが、感覚を掴んでいくまでは大変です。でも、やりがいがありますよ。」と林さん。
難しさの一つにあげられるのが混ぜ込む際の水分の調整です。
春夏秋冬で気温も違えば、湿度も異なります。雨や雪によっても水分量は変わってきます。
天候が違っても、年間を通じて良い品質のものをお客様に提供する為には、培地の仕込み具合に
ばらつきが出ては良いものがお届けできません。
気温や湿度、当日使う原材料の水分量など細かくデータで分析し、林さん達の感覚を元に作業
していきます。まさにこれまで培ってきた経験もプラスして。
ちょうど取材日には、業者から納入されたおがくずが、広い敷地にうずたかく積まれていました。
北村きのこ園では、原材料の一部におがくずを使用しています。
しかし、このおがくず納入されたらすぐ使用できるわけではなく、おがくずに付いている不純物を取り除くため、この敷地内で2年間じっくりと休ませます。
途中全体のバランスを取るためにも機械を使って、上下を入れ替えるなどしながら不純物を
取り除く作業をし、管理をしていきます。それも林さんたちのお仕事になります。
おがくずをかきあげる作業を見せていただきました。
おがくずの山の高さは4m~5m位はあるでしょうか。勢いよくその山に機械で向かっていく姿は
まるで一夜にして雪が降り積もり、高さのある雪の壁に除雪車で立ち向かっていくような勢いを
感じるほど。
おがくずを下から上に持ち上げ、ゆっくりと下ろしながら、おがくずの上下を変えていく作業。
届いたばかりですので、木(おがくず)のとても良い香りが一面には漂います。
機械を使いながらですので、事故のないよう周りにも気を配りながら操縦する林さんは、
しっかりと前を見据え、キリッとした表情で作業されている姿がとても印象的でした。
林さん「この仕事は、季節を感じながらできるのが嬉しい。雨や雪にもさらされますが、
太陽の日差しを体いっぱいにあび、風を感じながら作業できるから。」と話してくださいました。
今年古希を迎えられた林さん。昔はよく車で旅行に出かけるのが楽しみだったそう。
そして、今は少し控えていらっしゃるようですが、頑張ったご褒美にビールを飲むのが楽しみの
一つだったとか。
「入社した時のような動きはもうできないが、もう少しここで勤めあげられたら嬉しいですね〜」と目を細めながら穏やかに話してくださった林さん。
どの作業も経験を重ねて来られたからこそ生まれた感覚であり、北村きのこ園さんにとっても
欠かすことのできないお一人であると実感しました。
『生涯現役!』 その豊かな経験値でこれからも美味しいきのこを作り続けてくださいね。